朝、登園してきた子どもの顔色をさっと見る。鼻水が出ている子、昨日熱があった子。保育園看護師の1日は、この「観察」から始まる。
病棟の看護師とはまったく違う仕事だ。点滴もモニターもない。でも「子どもの健康を守る専門職」として、保育園に欠かせない存在になっている。
この記事では、保育園看護師の仕事内容・1日の流れ・年収・向いている人を、病棟との違いを軸に整理した。
保育園看護師の仕事は「予防」と「判断」
保育園看護師の業務は大きく3つに分かれる。
1. 園児の健康管理。毎朝の健康観察、体調不良時の対応、アレルギー児の管理、与薬対応。保護者への連絡判断も看護師が担う。
2. 感染症対策と保健指導。手洗い指導、嘔吐処理の手順整備、感染症発生時の対応マニュアル作成。季節ごとの保健だよりも看護師が書くことが多い。
3. ケガの応急処置と受診判断。擦り傷や打撲は日常茶飯事だが、頭部打撲や骨折の疑いがあるときは受診の判断を一人で下す場面がある。
病棟との最大の違いは「治療」ではなく「予防」が中心であること。医師の指示を待つのではなく、自分で判断して動く場面が多い。
1日の流れ——8時半から17時半の勤務例
| 時間 | 業務内容 |
|---|---|
| 8:30 | 出勤・園児の健康観察(検温・顔色チェック) |
| 9:00 | 保育補助に入りながら体調の変化を観察 |
| 10:00 | 0歳児クラスの健康チェック・与薬対応 |
| 12:00 | 昼食の見守り(アレルギー児の確認)・休憩 |
| 13:30 | 午睡チェック(SIDS予防の呼吸確認) |
| 15:00 | 保健だよりの作成・保健計画の事務作業 |
| 16:00 | 保護者対応(体調報告・受診の助言) |
| 17:30 | 退勤 |
夜勤はない。土日休みの園が多く、カレンダー通りの生活ができる。ただし行事前は準備で残業が発生することもある。
年収は300〜380万円。病棟より100万円以上低い
保育園看護師の年収は300〜380万円程度(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」を基に保育施設の看護職給与水準から算出)。
病棟看護師の平均年収が約508万円(同調査)なので、差額は100〜150万円ほどになる。夜勤手当がないぶん、月収ベースで4〜6万円の差が出る構造だ。
賞与は園による差が大きい。公立保育園なら年4か月分が出るケースもあるが、私立の小規模園では年2か月分以下というところも珍しくない。
年収だけを見れば明らかに下がる。この数字を受け入れられるかどうかが、転職の判断軸になる。
求人は少ない。タイミングと情報収集が勝負
保育園の看護師配置は原則1名。退職者が出なければ求人は発生しない。
ハローワークや一般の転職サイトに出回る求人数は限られている。自治体の保育課が直接募集するケースや、園のホームページだけで告知する場合もあるため、複数の情報源を並行して確認する必要がある。
公立保育園は自治体の会計年度任用職員として募集されることが多く、毎年1〜3月に翌年度の採用情報が出る。私立園は欠員が出たタイミングで不定期に募集される。
「いつか保育園で働きたい」と思っているなら、今すぐ求人がなくても情報収集だけは始めておくべきだ。
保育園看護師に向いている人、向いていない人
向いている人の特徴は3つある。
子どもの成長に関わることにやりがいを感じる人。0歳から就学前まで、日々変化する子どもの成長を間近で見られる。病棟のように患者が入れ替わるのではなく、同じ子どもを数年にわたって見守れる。
夜勤なし・カレンダー通りの生活を最優先にしたい人。子育て中の看護師が保育園勤務を選ぶケースは多い。
予防医療や健康教育に関心がある人。治療ではなく「病気にならない環境をつくる」ことが仕事の中心だ。
一方で、向いていない人もいる。臨床スキルを磨き続けたい人には物足りない。採血も点滴もほぼない環境では、看護技術は確実に鈍る。また、1人配置ゆえに看護師同士の相談ができないことにストレスを感じる人も少なくない。
「年収が下がっても選ぶ理由」があるかどうか
保育園看護師は、年収・求人数・臨床スキルの維持という点では病棟より不利だ。これは事実として認めたうえで考える必要がある。
それでも「夜勤のない生活」「子どもの成長に関われる仕事」「予防医療の実践」に価値を感じるなら、保育園看護師は選択肢に入る。
大事なのは「なんとなく病棟が辛いから」ではなく、保育園看護師の仕事内容と年収を正確に理解したうえで判断すること。この記事がその材料になれば幸いだ。
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