看護師の職務経歴書は、A4で1〜2枚に「職務要約・職務経歴・活かせるスキル・保有資格・自己PR」の5つを書きます。厚生労働省とハローワークのパンフレット「応募書類」は、職務経歴書をA4縦の紙1〜2枚程度にまとめるのが一般的だとし、標題・氏名・日付・職務経歴の4つを必ず書く項目に挙げています。残りの項目は、自分の経験に合わせて選べます。
この記事でわかること
- 5つの項目を埋める順番と、急性期5年目の記入例
- 応募先によって、強調する経験をどう変えるか
- 転職回数が多い・ブランクがある時の書き方と、この型が効かない場面
履歴書そのものの書き方は看護師の履歴書の書き方にまとめています。ここでは職務経歴書に絞ります。
履歴書と職務経歴書は何が違う?
履歴書は経歴の事実を並べる書類で、職務経歴書は「何をしてきて、何ができるか」を伝える書類です。採用担当は履歴書で学歴・職歴・資格を確かめ、職務経歴書で「この人がうちの現場で何をできるか」を見ます。
職務経歴書は様式が決まっていないぶん、書き手の差が出ます。同じ5年の病棟経験でも、担当した診療科・受け持ちの人数・関わった退院支援の回数まで書いた人と、「病棟勤務5年」で終えた人では、面接に呼ばれた後の質問の深さが変わります。上のパンフレットも、面接では職務経歴書の内容をもとに質問されることが多いので、聞かれる内容を想定して書くよう勧めています。
何をどの順で書けばいい?
職務要約から自己PRまで、次の5つを上から順に埋めます。迷ったら、事実を書く2と4を先に埋めると手が止まりません。
- 職務要約(3〜4行):経験年数・分野・中心にしてきた仕事を、最初の数行で示します。採用担当が最初に読む場所です。
- 職務経歴(施設ごと):施設名・病床数・配属先・期間・担当業務を、事実だけで書きます。
- 活かせるスキル・経験:施設をまたいで使える強みを3〜5項目に絞ります。
- 保有資格:看護師免許に加え、取った資格と受けた研修を書きます。
- 自己PR(5〜6行):応募先で何ができるかを、経験の場面を1つ添えて書きます。
職務経歴の欄は、時系列に並べる形が読みやすくなります。パンフレットも、文は長くせず体言止めを基本にし、自己PRや志望動機だけを丁寧な文で書く形を勧めています。
急性期5年目の記入例は?
急性期の病棟で5年働いた看護師が、在宅の看護に移ることを考えている想定で書きます。数字は書き方を示すための例で、調査の値ではありません。自分の記録に残っている数字に置き換えてください。
職務要約
「看護師として5年間、急性期病棟(消化器外科・整形外科)に勤務。術後管理・急変対応・退院支援を中心に、年間約200名を受け持ちました。退院後の生活を支える看護に関心を持ち、在宅の看護を希望しています。」
職務経歴
○○総合病院(500床・急性期) 2021年4月〜2026年3月(5年間)
配属:消化器外科病棟(45床)→ 整形外科病棟(40床)
- 術前・術後の患者管理(胃切除・大腸切除・人工関節置換術・骨折観血的手術など)
- バイタル測定・創部管理・ドレーン管理・疼痛コントロール
- 急変時の初期対応(BLSでの対応3件)
- 退院支援カンファレンスへの参加(年間約40回)と退院指導
- プリセプターとして新人看護師1名を指導(2024年度)
活かせるスキル・経験
- 術後の全身管理とフィジカルアセスメント
- 急変時の初期対応(BLS・ACLS受講済み)
- MSW・リハビリ職・薬剤師・管理栄養士との退院支援の連携
- 新人指導(プリセプター1年)
- 患者・家族への退院指導(年間約60件)
保有資格
- 看護師免許(2021年取得)
- BLS・ACLSプロバイダー
- 日本褥瘡学会 褥瘡予防管理研修 修了
自己PR
「術後のバイタルの小さな変化に気づき、医師への報告につなげた場面が3件あります。退院支援に関わるうちに、退院した後の生活まで見る看護をしたいと考えるようになりました。病棟で身につけたアセスメントと、多職種と調整してきた経験を、利用者さんの生活の場で活かしたいと考えています。」
職務要約と自己PRに同じ話を書かないのがこつです。要約は経歴の全体、自己PRは場面1つ、と役割を分けると、2枚に収まります。
応募先によって、強調する経験はどう変える?
同じ経歴でも、応募先が知りたいことは違います。自己PRと「活かせるスキル」の並びだけでも、応募先ごとに入れ替えます。表は、勤務の形が病棟に近い順(入院の看護 → 外来 → 生活の場)に並べました。面接で聞かれやすいことも添えています。
| 応募先 | 前に出す経験 | 面接で聞かれやすいこと |
|---|---|---|
| 別の病院の病棟 | 診療科・病床数・受け持ち人数・リーダーの経験 | 夜勤の回数と、前の職場を離れる理由 |
| クリニック・外来 | 採血・処置の件数、患者への説明・指導 | 土曜診療や診療終了後の残業に出られるか |
| 介護施設(老健・特養) | 介護職との連携、看取り、褥瘡の予防 | 一人夜勤など、看護師が一人で判断する場面への備え |
| 訪問看護 | 退院支援、多職種との調整、フィジカルアセスメント | 急変時の初動を一人で担えるか、夜間のオンコールに入れるか |
右の列は、どの職場にも負担のある所がある、ということでもあります。書類の段階で「できます」と書き切らず、面接で条件を確かめてから決めてかまいません。
採用担当は職務経歴書のどこを見る?
数字で書かれた経験、応募先との結びつき、読みやすさの3つです。
- 数字で書かれた経験:「患者を担当」より「年間約200名を受け持ち」。病床数・経験年数・指導した人数・カンファレンスの回数など、記録で確かめられる数を選びます。
- 応募先との結びつき:1通を使い回すと、どこにでも出せる文章になります。上の表のように、前に出す経験を応募先ごとに選び直します。
- 読みやすさ:パンフレットは、様式が自由なぶん、レイアウトや文字の大きさも評価の材料になるとしています。2枚を超えそうなら、冒頭の職務要約で要点を先に示し、古い経歴を短くします。
書き終えたら、印刷して自分で読み返し、面接で聞かれそうな所に印を付けます。コピーを取っておき、面接の前にもう一度読むと、話す内容と書いた内容がずれません。
この書き方が効かないのはどんな時?
次の場面では、5つの型をそのまま使っても伝わりにくくなります。
- 応募先が書式を決めている。病院所定の様式があるなら、その欄に合わせて書きます。型は中身を考える時だけ使います。
- 経験が1年未満で、書ける実績がまだ少ない。数字を無理に作らず、学んだ手技と、次に身につけたいことを書きます。
- 看護の仕事から離れていた期間が長い。職務経歴より、復帰に向けて何をしたかの方が先に読まれます(下の質問を参照)。
よくある質問
Q. 転職回数が多い場合、職務経歴書はどう書く?
施設ごとに時系列で書くのが基本です。4施設以上なら、直近の2施設を詳しく、それより前は1〜2行にまとめます。転職の理由は職務経歴書には書かず、面接で聞かれた時に答えます。日本看護協会「2023年 病院看護実態調査」では、病院の正規雇用看護職員の離職率は11.8%(2022年度)でした。厚生労働省「令和4年雇用動向調査」の全産業の離職率は15.0%です。調べた対象が違うので単純には比べられませんが、転職そのものは珍しいことではありません。各職場で何をしたかを具体的に書く方が、回数より先に読まれます。
Q. ブランクがある場合はどう書く?
ブランクの期間と理由(育児・介護・体調の回復など)を1行で書き、そのうえで復帰に向けた準備を具体的に書きます。都道府県ナースセンター(都道府県の看護協会が運営)は、再就業を支える研修を行っています。受けた研修の名前と時期、eラーニングで学んだ内容を書くと、準備をしてきたことが伝わります。
Q. 訪問看護に応募する時は、何を前に出す?
退院支援の経験、多職種との調整、フィジカルアセスメントの3つです。訪問では看護師が一人で利用者の家を回るので、一人で判断してきた場面を書けると伝わります。全国訪問看護事業協会の調査では、訪問看護ステーション(稼働数)は2025年4月1日現在18,754か所で、2023年4月1日現在の15,697か所から増えています。規模や体制はステーションごとに違うので、夜間のオンコールの体制と月の呼び出しの回数は、面接で実績を確かめてください。
Q. クリニックや介護施設に応募する時は?
クリニックなら外来での処置・採血・患者への説明の経験を、介護施設なら介護職との連携や看取りの経験を前に出します。勤務日や夜勤の体制は職場で違うので、書類で決めつけず面接で確かめます。
Q. 手書きとパソコン、どちらで作る?
パソコンで作るのが基本です。厚生労働省のパンフレットは、A4縦にパソコンの横書きで作るのが一般的とし、手書きなら黒のボールペンか万年筆で書く(鉛筆とシャープペンシルは不可)としています。応募先が手書きを指定している時はそれに従います。
Q. 自己PRと志望動機は同じでいい?
分けて書きます。自己PRは「自分に何ができるか」、志望動機は「なぜこの職場か」です。同じ話を2回書くと、どちらも薄くなります。志望動機の例文は、冒頭で紹介した履歴書の記事にあります。
職務経歴書の書き方や、応募先ごとの見せ方に迷った時は、with Nursing のLINE相談で、これまでの経歴や条件を一緒に整理できます。応募する求人が決まったら、面接の準備や書類の見直しも一緒に進めます。無理に転職を勧めることはありません。

