看護師の職務経歴書は「職務要約・職務経歴・スキル・資格・自己PR」の5パーツで構成する。マイナビ看護師の調査(2024年)によると、看護師の転職経験者のうち78%が「職務経歴書の書き方がわからなかった」と回答している。しかし5パーツの型に当てはめるだけで、5分で骨格は完成する。以下に急性期5年目の記入例つきで手順を示した。
履歴書と職務経歴書は何が違う?
履歴書——学歴・職歴・資格など経歴の事実を時系列で示すもの。
職務経歴書——「どんな仕事をして、何ができるか」を具体的に伝えるもの。
採用担当は履歴書で基本情報を確認し、職務経歴書で「この人にうちで何ができるか」を判断する。看護roo!の採用担当アンケート(2023年、回答数312名)では、面接に呼ぶかどうかの判断材料として「職務経歴書の具体性」を挙げた人が67%。面接に呼ばれるかどうかは、職務経歴書の中身で決まる。
職務経歴書の基本構成は?——5パーツを順番に埋めるだけ
1. 職務要約(3〜4行)。 経歴全体のダイジェスト。何年の経験があり、どの分野で何をしてきたか。採用担当が最初に読む部分。ここで興味を持ってもらえるかが勝負。
2. 職務経歴(施設ごと)。 施設名・病床数・配属先・勤務期間・担当業務。事実を淡々と。
3. 活かせるスキル・経験。 施設横断で、自分の強みを箇条書き3〜5項目。
4. 保有資格。 看護師免許+取得済み資格・研修受講歴。
5. 自己PR(5〜6行)。 志望先で自分がどう貢献できるかをエピソードつきで。
記入例——急性期5年→訪問看護への転職
職務要約
「看護師として5年間、急性期病棟(消化器外科・整形外科)に勤務。術後管理、急変対応、退院支援を中心に年間約200名の受け持ちを経験しました。退院後の患者の生活を支える看護に関心を持ち、訪問看護への転職を希望しています。」
職務経歴
○○総合病院(500床・急性期) 2021年4月〜2026年3月(5年間)
配属:消化器外科病棟(45床)→ 整形外科病棟(40床)
担当業務:
- 術前・術後の患者管理(胃切除、大腸切除、人工関節置換術、骨折観血的手術等)
- バイタル測定、創部管理、ドレーン管理、疼痛コントロール
- 急変時の初期対応(BLS対応実績3件)
- 退院支援カンファレンスへの参加(年間約40回)、退院指導
- プリセプターとして新人看護師1名の指導(2024年度)
活かせるスキル・経験
- 術後の全身管理・フィジカルアセスメント
- 急変時の初期対応(BLS・ACLS受講済み)
- 多職種連携(MSW、リハビリ、薬剤師、栄養士との退院支援連携)
- 新人指導(プリセプター経験1年)
- 患者・家族への退院指導(年間約60件)
保有資格
- 看護師免許(2021年取得)
- BLS・ACLSプロバイダー
- 日本褥瘡学会 褥瘡予防管理研修 修了
自己PR
「急性期病棟での5年間で、観察力と判断力を鍛えてきました。術後管理では小さなバイタルの変化から異常を早期発見し、医師への報告につなげた経験が3件あります。退院支援に関わる中で『退院がゴールじゃなく、その先の生活を支えることが看護の本質じゃないか』と考えるようになりました。訪問看護の現場で、病棟で培ったアセスメント力と多職種連携の経験を活かし、利用者の生活に寄り添った看護を提供したいです。」
採用担当に刺さる職務経歴書のポイントは?
数字を入れる。 「患者を担当」より「年間約200名の受け持ち」。病床数、経験年数、指導人数——数字にできるものは全部数字にする。厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均勤続年数は8.6年。5年の経験があれば中堅として十分な実績。
応募先に合わせてカスタマイズする。 訪問看護なら退院支援やアセスメント力を強調。クリニックなら外来対応や患者教育。一つの職務経歴書を使い回すより、自己PRだけでも応募先ごとに調整するのが効果的。
A4で1〜2枚に収める。 長いと読んでもらえない。看護roo!の調査では、採用担当の89%が「A4で2枚以内」を適切な分量と回答している。簡潔に、要点を絞る。
職務経歴書は、看護経験を「伝わる形」に変換する作業。難しく考えなくていい。5パーツの型を埋めれば、採用担当に「会ってみたい」と思ってもらえる。
よくある質問
Q. 転職回数が多い場合、職務経歴書はどう書く?
施設ごとに分けて書く形式(キャリア式ではなく時系列式)が基本。ただし4施設以上の場合は、直近2施設を詳しく、それ以前は簡潔にまとめる。転職理由は職務経歴書には書かず、面接で聞かれたときに答える。日本看護協会の「看護職員の労働実態調査(2023年)」では、看護師の離職率は11.8%で全産業平均(15.0%)より低い。転職回数を過度に気にする必要はない。
Q. ブランクがある場合はどう書く?
ブランク期間とその理由(育児・介護・体調回復など)を正直に記載した上で、復帰に向けて行った準備(復職支援研修、eラーニング、実技研修など)を具体的に書く。都道府県のナースセンターが実施する復職支援研修は全国47都道府県で年間約2,000回開催されている。「ブランク中も学び続けた姿勢」が採用担当に伝わる。
Q. 訪問看護に応募する場合、職務経歴書で特に強調すべきことは?
退院支援の経験、多職種連携の実績、フィジカルアセスメント力の3つ。訪問看護では一人で判断する場面が多いため、「自立して動けるか」が最大の評価ポイント。厚生労働省の調査では訪問看護ステーション数が約15,700か所(2023年)と過去最多で、人材ニーズは高い。病棟での退院支援経験は訪問看護への転職で最も強い武器になる。

