看護師の年収を職場別・地域別に比較|手取りで見るリアルな数字

看護師の平均年収は約508万円(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」)。

ただ、この数字にはほとんど意味がない。夜勤月8回の急性期病棟ナースと、日勤のみのクリニック勤務では100万円以上の差がつく。地域でも50〜80万円変わる。「平均508万円」は、あまりにも幅がありすぎる。

自分の年収が高いのか低いのかを判断するには、「同じ条件の看護師がいくらもらっているか」を知る必要がある。

ここでは、職場別・地域別・経験年数別に、看護師の年収をできるだけ具体的な数字で比較した。

目次

職場別の年収|同じ「看護師」でも150万円の差がつく

「看護師の年収」とひとくくりにできないのは、職場によって給与構造がまったく違うからだ。基本給の水準、夜勤手当の有無、賞与の月数、残業の多さ。これらの組み合わせで、同じ経験年数でも年収に大きな差が出る。

職場 年収目安 月額手取り目安 夜勤 特徴
急性期病棟(大学病院・総合病院) 480〜550万円 26〜30万円 月4〜8回 夜勤手当が年収の柱。残業も多め
慢性期・療養型病棟 430〜490万円 24〜27万円 月4〜6回 急性期より落ち着くが夜勤はある
訪問看護 430〜520万円 24〜28万円 オンコール オンコール手当+訪問件数で変動
クリニック(一般内科・皮膚科等) 350〜420万円 20〜24万円 なし 夜勤手当なし。賞与も少なめ
美容クリニック 400〜550万円 23〜30万円 なし インセンティブ次第で大きく変動
介護施設(老健・特養) 380〜450万円 22〜25万円 施設による 日勤のみの施設も。オンコールあり
健診センター 330〜400万円 19〜23万円 なし 土日休み多いが年収は最も低い水準

※金額は経験5〜10年目の目安。地域・施設規模で上下する。手取りは社会保険料・所得税・住民税控除後の概算。

急性期病棟と健診センターでは、年収差が最大で220万円。月の手取りで7〜10万円の差がつく。この差の大半を占めるのが夜勤手当だ。

夜勤手当の影響|月4回で年間60万円の差

看護師の年収を構成する要素のうち、最もインパクトが大きいのが夜勤手当。

2交代制の夜勤手当は1回あたり11,000〜15,000円が相場(日本看護協会「2023年 病院看護実態調査」)。月4回で年間52〜72万円。月8回なら年間105〜144万円。この手当がなくなるだけで、年収は一気に下がる。

夜勤回数(月) 手当単価 年間手当
月4回 12,000円 約58万円
月6回 12,000円 約86万円
月8回 12,000円 約115万円

つまり「夜勤なしの職場に転職する=年収が60〜115万円下がる」と考えたほうがいい。

これを知らずにクリニックや健診センターに転職して「思ったより手取りが少ない」と感じる人は少なくない。逆に言えば、夜勤ありの職場を選ぶだけで年収は維持しやすい。問題は、その夜勤をあと何年続けられるか、だ。

地域別の年収|東京と地方で80万円の差

同じ職場タイプでも、地域によって年収は大きく変わる。

用語メモ:手取りと手残り
手取り=額面年収から税金・社会保険料を引いた、実際に振り込まれる金額。
手残り=手取りから家賃などの生活コストを引いた、自由に使えるお金。同じ手取りでも、家賃の高い地域では手残りが少なくなります。
地域 平均年収 家賃相場(1LDK) 手残りの感覚
東京23区 530〜570万円 10〜14万円 年収は高いが家賃に消える
大阪市 490〜530万円 7〜9万円 家賃とのバランスが比較的良い
福岡市 460〜500万円 6〜8万円 手元に残る額は東京と大差ない場合も
地方都市(県庁所在地級) 430〜480万円 5〜7万円 生活コスト低く、貯蓄しやすい
地方(郡部・町村) 400〜450万円 3〜5万円 車必須。維持費で相殺されることも

※年収は病棟勤務(経験5〜10年目)の概算。家賃は総務省「住宅・土地統計調査」等を参考に概算。

額面だけ見ると東京が圧倒的に高い。ただし家賃が月10万円を超えると、年間で120万円以上が住居費に消える。福岡で年収470万円、家賃7万円なら、手元に残る額は東京の530万円とほぼ同じ、というケースもある。

年収の「額面」ではなく「手元に残る額」で比較しないと、転職後に「あれ、生活が楽にならない」という事態になる。

経験年数と年収の関係|昇給カーブは10年でほぼ止まる

看護師の昇給は、一般企業と比べて緩やかだ。

経験年数 年収目安(病棟) 月額基本給の上昇幅
1〜3年目 380〜430万円 年3,000〜5,000円
5年目 430〜480万円 年3,000〜5,000円
10年目 470〜520万円 昇給幅が鈍化
15年目〜 490〜540万円 ほぼ横ばい(管理職除く)

※夜勤月4〜6回の病棟勤務を想定。管理職は除く。

年間の昇給が3,000〜5,000円ということは、10年働いても月額で3〜5万円しか上がらない。同じ病院で20年勤めても、基本給ベースの上昇は月6〜10万円程度。賞与込みでも年収の伸びは100万円に届かないケースが多い。

一方で、職場を変えるだけで年収が50〜100万円変わることは普通にある。同じ経験年数・同じスキルでも、基本給の設定が病院ごとに違うからだ。「昇給を待つ」より「環境を変える」ほうが、年収を上げるには現実的な手段になる。

「年収が高い=良い職場」ではない

年収だけで職場を選ぶと失敗する。

年収550万円の急性期病棟で月8回夜勤、残業月30時間。拘束時間で割った時給は約1,650円。一方、年収430万円でも日勤のみ・残業月5時間の訪問看護なら、時給は約2,300円。

年収は120万円低いのに、時間あたりの単価は高い。

それに、夜勤ベースの高年収は30代後半から体力的に維持が難しくなる。35歳を過ぎて夜勤明けの回復に丸2日かかるようになり、「夜勤を減らしたいけど年収が下がるのが怖い」というジレンマに陥る人は多い。

年収を比較するときに本当に見るべきは3つ。

  • 時間単価: 拘束時間に対していくらもらえているか
  • 持続可能性: その働き方を5年後、10年後も続けられるか
  • 手残り: 家賃・通勤費を引いた後に手元にいくら残るか

額面の年収だけでは、この3つは見えない。

自分の年収を具体的に計算してみる

「自分と同じ条件の看護師はいくらもらっているのか」を知るには、職場タイプ・地域・夜勤回数・経験年数を組み合わせてシミュレーションするのが一番早い。

with Nursingの年収・手残りシミュレーターでは、現在の勤務条件と転職後の条件を入力するだけで、年収の変化を具体的な数字で確認できる。

「クリニックに転職したら手取りがいくら下がるか」「訪問看護に移ったら年収はどう変わるか」。漠然とした不安を数字に変えるだけで、転職の判断はかなりクリアになる。

→ 年収・手残りシミュレーターで計算してみる

年収の話は、一人で考えていると堂々巡りになりやすい。「転職すると年収が下がるのでは」という不安だけで動けなくなっている人も多い。

数字で見れば、意外と「今のままのほうがリスク」というケースもある。まずは現状を把握するところから始めてみてほしい。

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よくある質問

看護師の平均年収はいくらですか?

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は約508万円です。ただし夜勤回数・職場タイプ・地域で大きく異なり、330万〜570万円の幅があります。

看護師の職場で最も年収が高いのはどこですか?

急性期病棟(大学病院・総合病院)が480〜550万円で最も高い水準です。美容クリニックはインセンティブ次第で同水準になることもあります。逆に健診センターは330〜400万円と低めです。

看護師の年収は地域でどのくらい差がありますか?

東京23区と地方郡部で最大80〜130万円の差があります。ただし家賃などの生活コストを差し引くと、地方のほうが手元に残るお金が多いケースもあります。

この記事の監修者
株式会社じょいなす 代表取締役 / 臨床工学技士
元臨床工 学技士。病院勤務を経て、看護師の転職支援事業を立ち上げ。年間300人以上の面談を 代表自ら対応し、一人ひとりのキャリアに向き合っています。
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