看護師がNISAやiDeCoを検討しやすい理由は、夜勤手当による収入の余力があること、キャリアの転機で収入が変わりやすいこと、職業人生が長いことです。ただし、どの制度が合うかは家計や働き方によって変わります。
NISAは金融庁「NISAを知る」のとおり、2024年から年間の投資枠が広がり、非課税で持てる期間は無期限になりました。iDeCoは掛金が所得控除になる代わりに、iDeCo公式サイトのとおり原則60歳まで引き出せません。看護師の働き方は、夜勤手当の有無や産休・育休で手取りが動きやすいので、引き出せる時期の違いを先に押さえておくと選びやすくなります。
※本記事は一般的な制度情報の紹介です。個別の投資判断については、金融機関や専門家にご相談ください。
理由1:夜勤手当が「投資に回せる余力」になるのはなぜ?
看護師の給与で目立つのは夜勤手当です。二交代制の夜勤手当(1回あたり)の平均は11,368円(日本看護協会「2023年 病院看護実態調査」)です。月4回なら約4.5万円、月5回なら約5.7万円(算式値)の上乗せになります。
この夜勤手当は、生活費とは別に発生する「余力のある収入」になりやすい部分です。基本給と分けて見ておかないと、いつの間にか生活費に溶けていきます。
仮にこの夜勤手当のうち月3万円を積立投資に回した場合、20年間・年利4%で運用すると、下の表のとおり元本の約1.5倍になります。
※想定利回り4%は、計算のための仮定値です。将来の運用成果を示すものではありません。
| 毎月の積立額 | 期間 | 想定利回り(年) | 最終金額(概算) | うち運用益 |
|---|---|---|---|---|
| 1万円 | 20年 | 4% | 約370万円 | 約130万円 |
| 3万円 | 20年 | 4% | 約1,100万円 | 約380万円 |
| 5万円 | 20年 | 4% | 約1,830万円 | 約630万円 |
※上記は複利運用の概算シミュレーション(毎月末に積み立て、年利4%を月複利で計算した算式値)であり、実際の運用成果をお約束するものではありません。
基本給で生活を組み、夜勤手当の一部を積立に回す。この分け方ができることが、1つ目の理由です。
理由2:キャリアの転機で収入が下がるリスクに備えられるのはなぜ?
働き続けるあいだに、収入が変動するタイミングが何度かあります。
- 夜勤のない職場への異動・転職(夜勤手当がなくなる分の減収)
- 産休・育休による一時的な収入減
- 時短勤務への切り替え
- 管理職への転向(夜勤手当がなくなる場合)
長く働くほど、このどれかに当たる可能性は上がります。収入が下がる時期に、それまで積み上げた資産があれば、家計の心配だけで働き方を決めずに済みます。
NISAならいつでも引き出せるので、余裕のある時期に積み立て、育休などで手取りが減った時期に取り崩す、という使い方ができます。
理由3:5年早く始めると、なぜ数百万円の差がつく?
資産形成では、始める時期の差がそのまま結果の差になります。同じ金額を積み立てても、開始が早いほど複利の効果が大きくなるためです。
| 開始年齢 | 積立期間 | 毎月3万円 x 年利4%の場合 |
|---|---|---|
| 25歳 | 35年 | 約2,740万円 |
| 30歳 | 30年 | 約2,080万円 |
| 35歳 | 25年 | 約1,540万円 |
25歳で始めた場合と35歳で始めた場合では、同じ月3万円の積立でも約1,200万円の差がつきます。元本の差は360万円ですが、複利の効果でさらに大きな差になるのです。
「もう少し落ち着いたら」と待つあいだも、この差は開いていきます。表の金額は仮定の利回りによる計算ですが、期間が長いほど有利になる仕組みは、利回りが変わっても同じです。
NISAとiDeCoの違いは?
NISAは引き出しが自由で柔軟に使える制度、iDeCoは老後資金向けに引き出しが制限される代わりに掛金が所得控除になる制度です。
それぞれの特徴を並べます。
| 項目 | NISA(新NISA) | iDeCo |
|---|---|---|
| 非課税のしくみ | 運用益が非課税 | 運用益が非課税+掛金が所得控除 |
| 年間投資上限 | つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円(生涯の非課税保有限度額は1,800万円。金融庁「NISAを知る」より) | 加入区分によって異なります(iDeCo公式サイトより) |
| 引き出し | いつでも可能 | 原則60歳まで不可(iDeCo公式サイトより) |
| 節税効果 | 運用益のみ | 運用益+毎年の所得税・住民税が軽減 |
| 向いている人 | 柔軟に使いたい人 | 老後資金を計画的に貯めたい人 |
看護師の場合の考え方
- まずはNISAから始めるのが取り組みやすい(引き出し自由で心理的ハードルが低い)
- 余裕が出てきたらiDeCoも併用する(節税効果が大きい)
- 産休・育休の可能性がある方は、引き出せないiDeCoだけに集中しすぎないことも大切
この考え方が当てはまりにくい場面: 生活費の数か月分の貯金がまだ無い、または金利の高い借入がある場合は、積立より先にそちらを整えるのが一般的な順番です。iDeCoの所得控除は、iDeCo公式サイトのとおり課税所得が無い人は受けられないので、産休・育休で所得が少ない年は節税の効果も小さくなります。
看護師が今日からできることは?3つのステップ
今日からできるのは、積立にまわせる額を確認し、口座を開設し、つみたて設定をするという流れです。
ステップ1:毎月いくら積み立てられるか確認する
自分に合う職場のタイプを知るなら:3分でできる適職診断 →
ステップ2:証券口座を開設する
NISA口座は、ネット証券で無料で開設できます。口座開設自体にお金はかかりません。開設には日数がかかることがあるので、「始めよう」と思ったときに手続きだけ先に済ませておくと進めやすくなります。
ステップ3:つみたて設定をして、年に1回ほど見直す
一度設定すれば、毎月自動で積み立てが続きます。シフトが不規則でも手間は増えず、日々の値動きを追う必要もありません。年に1回、または昇給・異動・休業の前後など手取りが変わったときに、積立額が今の家計に合っているかを見直します。
よくある質問
Q. NISAとiDeCoは、どちらから始めればいいですか?
決まった正解はありません。分かれ目は引き出せる時期で、NISAはいつでも、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。出産や転職など数年のうちに手取りが変わる予定があるなら、NISAを中心にしておくと調整がききます。当面その予定が無く、老後資金を別に確保したいなら、所得控除のあるiDeCoを足す選び方もあります。
Q. 少額からでも始める意味はありますか?
あります。上の2つの表のとおり、積立期間が長いほど運用益は大きくなります。少額で始めておき、手取りが増えたら額を上げる進め方もできます。表の金額は計算のための仮定で、将来の運用成果を示すものではありません。
Q. 産休・育休に入ったら、積立は止めたほうがいいですか?
NISAは積立額の変更や停止ができるので、手取りが下がる期間は額を下げる・止めるといった調整ができます。iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、休業前に掛金を続けられるかを確かめておくと安心です。手続きは加入している金融機関で確認してください。
Q. 夜勤をやめると、積立に回せる額はどれくらい減りますか?
二交代制の夜勤手当の平均は1回11,368円(日本看護協会「2023年 病院看護実態調査」)です。月4回の夜勤をやめると、月4.5万円ほど(算式値)手取りの元になる額が減ります。勤務先の夜勤手当の額は給与明細で確かめてください。
Q. NISAで買える金額に上限はありますか?
年間の投資枠と、生涯で非課税のまま持てる上限(非課税保有限度額)の2つがあり、金額は上の比較表に載せています。月数万円の積立なら、上限に届くことはまずありません。
まとめ
迷ったら、引き出せるNISAで少額から始め、手取りが安定してからiDeCoを足す順番が取り組みやすいです。夜勤手当の一部を「将来の自分への仕送り」と決めて、続けられる額で始めてみてください。
with Nursing のLINE相談では、私たちが夜勤の有無や働き方による給与の違いなど、収入面の整理をお手伝いします。無理に転職を勧めることはありません。NISAやiDeCoなど資産運用そのものの判断は、金融機関や専門家にご相談ください。
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