病棟の給与には、夜勤と残業の回数で増える部分があります。日本看護協会「2023年 病院看護実態調査」では、定額の夜勤手当を払う病院の二交代制の夜勤手当は、1回あたり平均11,368円でした。月4回なら、11,368円×4回×12か月で年に約54.6万円です(計算例)。夜勤のない職場へ移ると、この分は基本的に無くなります。抜け出す時は、無くなる額を先に数字で出し、移る先で何がそれを埋めるのか、埋まらないなら家計がどう変わるのかを確かめてから決めます。
この記事でわかること
- 病棟の給与のうち、夜勤と残業で決まる部分の出し方
- 夜勤をやめた時に減る額の目安と、それを埋めるもの
- 老健・特養、訪問看護、クリニック、病院内の日勤で変わること
病棟の給与のうち、時間で決まる部分はどこ?
夜勤手当と時間外手当(残業代)です。基本給や資格・役職の手当は勤務の回数では変わりませんが、この2つは夜勤と残業をした分だけ増え、しなければ減ります。
賃金構造基本統計調査(令和7年)では、看護師(企業規模10人以上)の毎月決まって支給される給与を12か月分にし、年間賞与を足すと約525万円です(365.9千円×12+856.4千円の算式値)。この毎月の額には、夜勤手当や残業代も含まれています。平均の年収を見る時は、そのうちどれだけが夜勤と残業から来ているかを分けて考える必要があります。
自分の内訳は、給与明細で分かります。1年分の明細から夜勤手当と時間外手当の欄を足すと、「時間で決まる部分」の年額が出ます。明細が手元に無ければ、直近3か月分を足して4倍しても目安になります。
夜勤をやめると、年収はどれくらい減る?
回数で変わります。上の二交代制の平均11,368円で計算すると、次のとおりです。
| 月の回数 | 夜勤手当の年額(計算例) |
|---|---|
| 2回 | 11,368円×2回×12か月=272,832円 |
| 4回 | 11,368円×4回×12か月=545,664円 |
| 6回 | 11,368円×6回×12か月=818,496円 |
三交代制の病院は、同じ病院看護実態調査で準夜勤4,234円・深夜勤5,199円が平均でした。手当の額は病院ごとに違うので、自分の明細の1回あたりの額で計算し直します。夜勤明けの日の残業が無くなる分も、時間外手当から減ります。
手取りで比べる時は、年収が下がると税金と社会保険料も下がるので、手取りの減り方は上の表の額より小さくなります。最後は自分の明細と求人票の数字で確かめます。
夜勤のない職場では、減った分を何で埋める?
埋め方は3つあります。基本給が今より高い職場を選ぶ、資格や役職の手当で上乗せする、オンコールなど夜勤以外の手当で補う、の3つです。どれも職場によって有無と額が違うので、求人票の給与の内訳で確かめます。
- 基本給:求人票の月給が「夜勤手当を含む」か「含まない」かを最初に見ます。夜勤の回数込みの額を、日勤だけの額と並べると比べ方を誤ります
- 資格・役職の手当:認定看護師や主任などの手当があるか、いくらか、何年目から付くかを聞きます
- 夜勤以外の手当:訪問看護のオンコール手当のように、夜間の待機に付く手当があります。待機の回数と1回の額で年額を出します
3つを足しても減った分に届かない時は、収入が下がることを前提に、家計の固定費をどこまで見直せるかを先に決めます。減ることが分かった上で移るのと、移ってから気づくのとでは、その後の選び方が変わります。
移る先ごとに、何が変わる?
夜間に拘束される形が残る順に並べます。どの職場にも、夜勤が無くなる代わりに引き受けることがあります。
病院の中で日勤に移る:収入は夜勤の分だけ下がる
同じ病院で日勤のみの常勤や外来へ移る方法です。職場を変えずに済み、病棟で積んだ経験もそのまま使えます。一方で、基本給は変わらないことが多く、夜勤手当の分がそのまま下がります。日勤のみの枠がそもそも無い病院もあるので、異動の希望を出す前に看護部へ確かめます。
老健・特養:夜間に一人で判断する場面がある
介護施設は、利用者の生活を長く支える看護です。施設によっては夜勤があり、看護師が夜間に一人になる日は、医師が常駐しない中で急変の最初の判断を一人で担います。夜間に看護師を置かない施設でも、オンコールで呼ばれることがあります。夜間の体制と連絡の流れを、面接で確かめます。
訪問看護:急変の初動とオンコールを一人で担う
利用者の家に一人で訪問するため、急変の時の初動を一人で担います。夜間のオンコールは、病棟の夜勤とは違います。自宅で待機し、緊急時に対応する形で、手当が付きます。月の呼び出しの回数はステーションで大きく違うので、面接で実績を確かめます。オンコール手当の付き方で、夜勤手当の分をどこまで補えるかも変わります。
クリニック:夜勤手当が無く、土曜の診療と人間関係に左右される
夜間の拘束は基本的にありません。その分、夜勤手当にあたる収入も無くなります。土曜の診療がある所が多く、診療後の業務で帰りが遅くなる所もあります。看護師が少ない人数で回すので、人間関係の影響も受けやすくなります。見学で、診療が終わった後の様子まで見ておきます。
病棟に残るほうがいいのはどんな時?
夜勤を減らすことと、病棟を離れることは、同じではありません。次のような時は、移る前に今の職場でできることを先に試します。
- 急性期の経験をもう少し積みたい。先に経験の区切りを決めてから移るほうが、移った先での評価にもつながります
- 回数を減らす相談ができそう。月6回を4回にするだけでも、体の負担と収入の両方を調整できます
- 収入を下げられない事情がある。家計の見直しより先に転職すると、生活が苦しくなることがあります
私たち with Nursing の LINE 相談では、今の給与の内訳と、夜勤をやめた時に変わる額の整理をお手伝いしています。応募する先が決まったら、条件の確認も一緒に進めます。無理に転職を勧めることはありません。
よくある質問
Q. 夜勤をやめると、年収はいくら下がる?
夜勤手当の年額の分です。二交代制の平均11,368円で、月4回なら年に約54.6万円になります(計算例)。自分の明細の1回あたりの額と回数で計算し直してください。
Q. 夜勤なしで、今と同じ年収を保てる職場はある?
基本給が高い職場や、オンコール手当・資格手当で補える職場はあります。ただ、職場ごとの差が大きいので、求人票の給与が夜勤手当を含む額かどうかを確かめた上で、年額で比べます。
Q. 訪問看護のオンコールは、病棟の夜勤と何が違う?
病棟の夜勤は職場で働きますが、オンコールは自宅で待機し、緊急時に電話や訪問で対応する形で、手当が付きます。呼び出しの回数はステーションで大きく違うので、面接で実績を確かめます。
Q. 求人票の月給は、そのまま今の月給と比べていい?
そのままでは比べられません。今の月給に夜勤手当や残業代が含まれていれば、それを除いた額と比べます。求人票の側も、何が含まれているかを確かめます。
Q. 収入が下がるなら、転職しないほうがいい?
収入だけで決めることはありません。体の負担や生活の時間と合わせて、下がる額を家計で受け止められるかを確かめてから決めます。受け止められない時は、夜勤の回数を減らす相談から始める方法もあります。

