老健・特養の看護師は、バイタル測定や内服管理などの健康管理、褥瘡処置などの医療処置、急変時の初期判断が中心の仕事です。老健は在宅復帰のリハビリ支援、特養は長期ケアと看取りが軸です。病棟より計画的に動ける場面が多い一方、夜間などに判断を一人で担う場面があります。
「施設で働く看護師って、何をしているの?」。病棟しか経験がない方にとって、老健(介護老人保健施設)や特養(特別養護老人ホーム)での看護師の仕事はイメージしにくいものです。
働き先の数を見ておきます。厚生労働省「令和5年 介護サービス施設・事業所調査の概況」では、2023年10月1日時点で、特養(介護老人福祉施設)は8,548施設、老健(介護老人保健施設)は4,250施設が活動しています。
老健と特養は何が違う?
老健は在宅復帰のためのリハビリ施設、特養は長期的な生活の場で、目的が異なります。
| 項目 | 老健 | 特養 |
|---|---|---|
| 目的 | 在宅復帰のためのリハビリ | 長期的な生活の場 |
| 入所期間 | 在宅復帰を目指す期間(施設により異なる) | 終身(看取りまで) |
| 医師の配置 | 常勤医あり | 非常勤が多い(勤務日数は施設による) |
| 看護師の役割 | 医療処置+リハビリ支援 | 健康管理+看取りケア |
| 医療度 | やや高め | 低め |
老健・特養の看護師の主な仕事内容は?
老健では医療処置とリハビリ連携、特養では健康管理と看取りケアが中心です。
老健の場合
日常的な健康管理
バイタルサイン測定、内服管理、インスリン注射、血糖測定などを行います。入所者の体調変化を早期に察知し、医師に報告します。
医療処置
褥瘡の処置、吸引、経管栄養、胃ろう管理などを担当します。病棟ほどの急性期処置はありませんが、基本的な医療行為は日常的に行います。
リハビリスタッフとの連携
老健はリハビリ目的の施設なので、PT・OT・STとの連携が重要です。入所者のADL変化を看護の視点で評価し、リハビリ計画に反映させます。
在宅復帰支援
家族への介護指導、退所前カンファレンスへの参加、ケアマネジャーとの連携などを行います。入所者が自宅に戻るための支援を多職種で行います。
特養の場合
日常的な健康管理
バイタルサイン測定、内服管理、皮膚トラブルのケアが中心です。医師が非常勤のため、看護師の判断が重要になります。
急変時の初期対応と判断
夜間や休日に医師がいない場合、看護師が第一判断者になります。救急搬送の判断、家族への連絡、オンコール医師への報告を行います。
看取りケア
特養は終の棲家としての役割を持つため、看取りケアに関わることが多いです。入所者とご家族の意思を尊重し、穏やかな最期を支えます。
介護スタッフとの協働
特養では、介護職員と一緒に入所者を支える場面が中心です。介護職員への医療的な助言や、急変時の対応の指導も看護師の役割です。
老健・特養は病棟と何が違う?
病棟より医療度は低めで、計画的に動ける場面が多くなります。その代わり、急変時に一人で判断する場面があります。
| 項目 | 病棟 | 老健・特養 |
|---|---|---|
| 医療度 | 高い | 低め〜中程度 |
| 急変対応 | チームで対応 | 一人で判断する場面あり |
| 業務のペース | 入退院や急変で予定が変わりやすい | 計画的に動ける場面が多い |
| 患者との関係 | 短期間(入退院) | 長期間 |
| 夜勤 | 2交替・3交替 | 施設による(一人夜勤の場合あり) |
| 残業 | 部署による | 施設による |
老健・特養で働くデメリットは?
主なデメリットは、一人夜勤、医療スキルの低下、介護業務との境界の曖昧さの3つです。
夜間の看護職員が一人、または置かれていない施設もある
夜間の看護職員が一人だけの施設や、夜間は看護職員が施設にいない体制の施設もあります。急変時の判断を一人で担う場面があるため、入職前に夜間の体制を必ず確認してください。
医療スキルが鈍る可能性
点滴や心電図モニター管理など、病棟で日常的に行っていた処置の機会が減ります。数年後に急性期に戻りたいと思った場合、スキル面で不安を感じるかもしれません。
介護業務との境界が曖昧になることがある
人手不足の施設では、看護業務以外の介護業務を求められることがあります。「看護師としての専門性を活かしたい」という方は、業務分担の実態を確認してください。
老健・特養の看護師に向いている人は?
入所者さんと長く関わりたい人や、計画的に動きたい人に向いています。
- 入所者さんと長期的な信頼関係を築きたい人
- 業務の流れが見通せる環境で計画的に動きたい人
- 多職種と協力しながらチームで働くことが好きな人
- 看取りケアに関心がある人
応募の前に何を確かめればいい?
まず、応募先がどの種類の施設かを確かめます。介護医療院、介護付きの有料老人ホーム、小規模な地域密着型の特養などは、医師の配置や医療処置の量、看護職員の人数が老健・特養と違います。
同じ老健でも、在宅復帰に力を入れている所ほど、入退所の調整やリハビリ職との連携の比重が大きくなります。求人票の「老健」の2文字だけで仕事の中身を決めず、入所者が自宅に戻る割合や、リハビリ職の人数を見学で聞いてください。
まとめ
老健・特養の看護師は、病棟とは違う形で看護の専門性を発揮する仕事です。業務の流れが見通しやすく、入所者さんとじっくり向き合えるのが魅力です。
ただし、一人夜勤やスキル低下のリスクもあるため、施設選びが重要になります。見学では、夜間の看護職員の人数と、看護と介護の業務の分け方の2つを必ず聞いてください。
よくある質問
Q. 老健と特養、看護師にとっての一番の違いは?
老健は在宅復帰に向けたリハビリの施設で常勤の医師がいます。特養は長く暮らす場で、医師は非常勤のことが多く、看護師が最初に判断する場面が増えます。
Q. 老健・特養の夜勤はどんな体制ですか?
大きく分けて、看護職員が夜勤に入る形と、夜間は介護職員だけが勤務し、看護職員が自宅で待機して電話で指示を出す形(オンコール)があります。オンコールの場合は、月の呼び出しの回数と手当の額を面接で確かめてください。
Q. 病棟経験が浅くても働けますか?
経験の浅い看護師を受け入れている所もあります。ただ、医師がいない時間に判断する場面があるため、急変時の初期対応の経験を応募の条件にするところもあります。教育の体制と、相談できる看護職員の人数を面接で聞いてください。
Q. 施設で働くと医療スキルは落ちますか?
落ちやすいのは、点滴や心電図モニターの管理のような急性期の処置です。褥瘡の処置・吸引・経管栄養などは老健・特養でも日常的に続きます。将来急性期に戻る予定があるなら、院外の研修などで手技に触れる機会を作っておくと安心です。
Q. 看取りに関わるのが不安です。
特養では看取りケアに関わる場面があります。看取りの手順や、家族との話し合いの進め方を施設として決めているかを見学で聞くと、入職後の負担を想像しやすくなります。
with Nursing のLINE相談では、老健・特養が自分の経験や希望に合うかどうかを、働き方・収入・条件の面から一緒に整理できます。無理に転職を勧めることはありません。自分に合う施設がわからないときは、一人で悩まず相談してみてください。

