3年目で訪問看護に転職|クリニック経験だけで飛び込んだ話

※ この記事は、with Nursingの転職相談を利用された方の事例をもとに、個人が特定されない形で構成しています。

目次

プロフィール

項目 内容
年代 20代後半
前職 内科クリニック(3年)
転職先 訪問看護ステーション(従業員12名)
家族構成 独身・一人暮らし

「このまま10年、同じ毎日を繰り返すのか」

朝8時半に出勤して、採血・点滴・心電図。午後は診察の補助と電話対応。17時半に退勤。クリニック3年目の日常は、完全にルーティンだった。

仕事に不満があったわけではない。院長も穏やかで、スタッフ同士の関係も悪くなかった。ただ、看護師としてのスキルが止まっている感覚がずっとあった。

新卒で入ったクリニックでは、急変対応の経験はほぼゼロ。フィジカルアセスメントも、教科書で覚えた知識が錆びていく一方。「病棟経験がないと、この先どこにも行けなくなるんじゃないか」。26歳の秋、焦りが形になった。

訪問看護に目を向けた理由

転職先を探し始めたとき、最初に考えたのは病棟勤務への転向だった。でも夜勤ありの三交代に今から入る覚悟がなかなか持てない。

訪問看護という選択肢が出てきたのは、たまたま患者さんとの会話がきっかけだった。「訪問の看護師さんが来てくれるようになって、安心して家にいられる」。クリニックに通院していた80代の女性の一言が引っかかった。

自分の判断で動ける現場。一人ひとりの生活に深く関われる仕事。病棟に行かなくても、看護師として成長できる道があるかもしれない。そう思って、訪問看護ステーションの求人を初めて開いた。

「病棟経験なし」への不安と、実際の壁

正直に書くと、面接前が一番怖かった。訪問看護の求人には「病棟経験3年以上」と書かれたものも多い。クリニック経験だけの自分が通用するのか、不安しかなかった。

結果として、3つのステーションに応募し、2つから内定をもらった。面接で聞かれたのは「なぜ訪問看護か」「一人で判断する場面に耐えられるか」。病棟経験の有無よりも、訪問看護への意思と覚悟を見られていた印象がある。

入職後、最初の3か月は先輩との同行訪問。ここで壁にぶつかった。バイタルの変化をどう判断するか。クリニックでは医師がすぐそばにいたから、少しでも気になればその場で聞けた。訪問先では自分しかいない。

SpO2が93%に下がった利用者さんを前に、頭が真っ白になったことがある。結果的には先輩に電話して指示を仰ぎ、主治医への報告につなげた。この経験が、勉強のスイッチを入れた。呼吸器のフィジカルアセスメント、褥瘡管理、在宅での薬剤管理――クリニック時代には触れなかった領域を、毎晩テキストを開いて詰め込んだ。

年収と働き方の変化

項目 クリニック時代 訪問看護(現在)
年収 約340万円 約420万円(オンコール手当含む)
勤務時間 8:30〜17:30(残業月5時間程度) 9:00〜18:00(残業月10時間程度)
休日 日祝+木曜午後(土曜午前あり) 土日祝(月2回オンコール当番)
夜勤 なし なし(オンコール対応あり)
通勤 電車30分 直行直帰あり(社用車)

年収は約80万円上がった。厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は約508万円。クリニック勤務は平均より100万円以上低いケースが多く、訪問看護はオンコール手当や訪問件数に応じたインセンティブがつくぶん、収入面では有利になりやすい。

一方で、拘束感は増えた。月2回のオンコール当番では、夜間に携帯が鳴る可能性がある。実際に出動したのは半年で3回。頻度は多くないが、当番の日は遠出できないし、深酒もできない。クリニック時代の「完全オフ」とは違う緊張感がある。

オンコールの実態についてはオンコールガイドで詳しく書いているので、気になる人はそちらも読んでほしい。

転職して半年後に感じていること

一番変わったのは、「看護師をやっている実感」が戻ってきたこと。

訪問先では利用者さんの生活がそのまま見える。冷蔵庫の中身、部屋の温度、家族との関係。病院やクリニックでは見えなかった情報が、ケアの判断材料になる。

週5日、1日5〜6件の訪問。移動時間に記録を音声入力して、ステーションに戻ったら申し送りとカンファレンス。日によっては直行直帰もできる。一日のスケジュール感については訪問看護の1日にまとめてある。

もちろん、楽なことばかりではない。終末期の利用者さんを担当したとき、ご家族の前で自分の判断が正しいか何度も迷った。でもその「迷い」自体が、クリニック時代にはなかったものだ。迷えるだけの裁量と責任がある。それが、今の自分には合っている。

訪問看護で求められるスキルの全体像は訪問看護に必要なスキルの記事でまとめている。

クリニックからの転職を考えている人へ

「病棟経験がないから無理」と思い込んでいる人は多い。自分もそうだった。

ただ実際には、クリニックで身につけた力は訪問看護でも活きる。採血や点滴の手技、患者さんとの距離感の取り方、限られた情報で優先順位をつける判断力。病棟とは違う形で、確実に使える。

足りないスキルは、入職後に埋められる。同行訪問の期間を長めに設けてくれるステーションも増えているし、教育体制が整った事業所を選べば、未経験からのスタートでも問題ない。

大事なのは「3年後にどんな看護師でいたいか」を考えること。ルーティンの安定を選ぶのも一つの正解だし、成長の実感を取りに行くのも正解だ。どちらが自分に合うかは、誰かに相談してみると見えてくることがある。


転職するかどうか、まだ決めなくていい。「今の働き方に少しモヤモヤがある」なら、それだけで相談する理由になる。

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あわせて読みたい: – 訪問看護師の1日のスケジュール|リアルな流れを公開オンコールって実際どう?訪問看護の夜間対応ガイド

この記事の監修者
株式会社じょいなす 代表取締役 / 臨床工学技士
元臨床工 学技士。病院勤務を経て、看護師の転職支援事業を立ち上げ。年間300人以上の面談を 代表自ら対応し、一人ひとりのキャリアに向き合っています。
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この記事を書いた人

元臨床工学技士。病院勤務を経て、看護師の転職支援事業を立ち上げ。年間300人以上の面談を代表自ら対応し、一人ひとりのキャリアに向き合っています。

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