保健師になったけど看護師に戻りたい|不眠になるまで我慢した話

※ この記事は、with Nursingの転職相談を利用された方の事例をもとに、個人が特定されない形で構成しています。

目次

プロフィール

項目 内容
年代 30代前半
経歴 総合病院(5年)→ 保健師資格取得 → 市町村保健師(9ヶ月)→ 派遣看護師(9ヶ月)→ 県保健師(現職)
保有資格 看護師・保健師
相談時の状況 不眠症状あり。看護師への復帰を検討中

眠れなくなった

相談に来たとき、ミナミさん(仮名)の目の下にはくっきりとクマがあった。

「最近、夜になると明日の仕事のことが頭から離れなくて。布団に入っても2〜3時間は眠れないんです」

県の保健師として働き始めて半年。Excel上の数値管理、関係機関との調整会議、住民からの電話対応。一日中デスクに座り、PCと書類に向き合う毎日だった。

保健師は「看護師の上位互換」だと思っていた

総合病院で5年。急性期の病棟で、点滴を替え、バイタルを測り、患者さんの表情を見て判断する日々を送っていた。

「もっとキャリアアップしたい」と思って、働きながら保健師の学校に通った。周囲からは「すごいね」「ステップアップだね」と言われた。自分でもそう信じていた。

最初の職場は市町村の保健センター。9ヶ月で辞めた。結婚のタイミングと重なったが、本音を言えば仕事が合わなかった。母子保健の書類仕事、乳幼児健診の事務処理。手を動かしている実感がない。成果が数字でしか見えない。

「市町村が合わなかっただけかもしれない」。そう思って、派遣で臨床に戻った期間を挟み、今度は県の保健師に。規模が変われば違うはず。

変わらなかった。

2回やって、わかったこと

市町村も県も、保健師の仕事の核は同じだ。データの集計、施策の立案、関係部署との調整。目の前に「患者さん」はいない。

ミナミさんはこう言った。

「看護師のときは、ケアした結果がすぐ見えたんです。熱が下がる。表情が和らぐ。『ありがとう』って言ってもらえる。保健師の仕事は、自分が何をしているのか実感できない」

板挟みも辛い。市区町村と住民の間、県と市の間。調整役として双方の意見を聞き、落としどころを探る。看護技術ではなく交渉力が求められる世界。

「せっかく資格を取ったのに」「ここで辞めたら学校に行った意味がない」。その思いが足枷になって、辞められなかった。不眠が始まったのは、その頃からだ。

「合わない」を認めるのが、キャリアの第一歩

保健師は看護師の上位資格ではない。まったく別の職種だ。

看護師は「目の前の人に手で触れて、変化を起こす」仕事。保健師は「地域全体の健康を、データと仕組みで支える」仕事。求められる適性が違う。体を動かして成果を実感したい人が、一日中デスクに座る仕事で苦しくなるのは、能力の問題ではない。向き不向きの問題だ。

ミナミさんには、臨床への復帰を軸に選択肢を整理することを提案した。5年の急性期経験がある。保健師として地域の制度や社会資源を学んだことも、退院支援や在宅医療の現場では強みになる。

遠回りではない。「自分に合わない仕事」を2回試して確かめたからこそ、次は迷わず選べる。

同じ悩みを持つ方へ

「資格を取る=正解」とは限らない。周囲が「もったいない」と言っても、毎日眠れないほど辛いなら、それは合っていない証拠だ。

看護師に戻ることは、後退ではない。自分が力を発揮できる場所に立ち返ることだ。

一人で考え続けて動けなくなっているなら、一度話してみてください。状況を整理するだけでも、見え方は変わります。

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よくある質問

Q: 保健師から看護師に戻るのは「後退」?

後退ではない。保健師と看護師は上下関係ではなく、まったく別の職種。デスクワーク中心の保健師と、手を動かして患者に触れる看護師では、求められる適性が異なる。

Q: 保健師の経験は看護師に戻ったとき活かせる?

地域の制度や社会資源に詳しくなるため、退院支援や在宅医療の現場では強みになる。特に訪問看護では、多職種連携やケアマネとの調整で保健師経験が直接活きる。

Q: 保健師が合わないと感じたらどうすべき?

市町村と県の両方を経験しても合わないなら、職種自体が向いていない可能性が高い。不眠や体調不良が出ているなら、早めにキャリア面談で選択肢を整理することを勧める。

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この記事の監修者
株式会社じょいなす 代表取締役 / 臨床工学技士
元臨床工 学技士。病院勤務を経て、看護師の転職支援事業を立ち上げ。年間300人以上の面談を 代表自ら対応し、一人ひとりのキャリアに向き合っています。
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