※ この記事は、with Nursingの転職相談を利用された方の事例をもとに、個人が特定されない形で構成しています。
プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年代 | 50代後半 |
| 経歴 | 総合病院(臨床看護)→ 保健センター(パート約9年)→ 社会福祉協議会(常勤)→ 健診業務(単発) |
| 身体的制約 | 腰椎すべり症(再発リスクあり)・難聴(補聴器使用)・膠原病既往 |
| 家族構成 | 単身 |
| 希望条件 | 手取り19万円/月以上・身体負荷の少ない業務 |
「できないこと」のリストが、先に埋まっていく
面談の冒頭で、彼女は自分の状態を淡々と並べた。
腰椎すべり症。鍼治療で回復したが、再発リスクがある。移乗介助や体位変換が続く仕事はできない。補聴器をつけているから、電話対応や外来の騒がしい環境は厳しい。膠原病の既往があり、長時間の屋外業務も避けたい。
3つの身体制約。これだけで、病棟も訪問看護も介護施設も、候補から消える。
貯金は40万円。経済的な余裕はほとんどない。65歳まであと9年。年金が受け取れるまで、なんとか働き続けなければならない。「選んでいる場合じゃないのはわかっています」。そう言いながらも、声は落ち着いていた。
30年のキャリアが消えるわけではない
制約だけを見ると、行き詰まる。でも面談で話を掘り下げていくと、見えてくるものがある。
総合病院での臨床経験。保健センターで9年間、地域の高齢者と向き合い続けた実績。社会福祉協議会では老人デイサービスに配属され、介護保険制度の現場を内側から知った。健診業務では、限られた時間で的確にアセスメントを回す力を磨いた。
30年以上の看護師人生で積み上げた知識と判断力は、身体が思うように動かなくなっても、そのまま残っている。
問題は「何ができないか」ではなく、「この経験をどの仕事に変換できるか」だった。
残り9年で現実的に選べる仕事
面談で一つひとつ洗い出した選択肢を整理する。
介護認定調査員。自治体の会計年度任用職員として、要介護認定の訪問調査を行う仕事だ。身体介助はない。調査票の記入と主治医意見書の確認が中心で、看護・介護両方の知識が直接活きる。彼女はすでに応募済みだった。月収は自治体によるが、手取り19万円のラインに届く求人もある。
健診業務(午前のみ・単発)。以前の経験があり、即戦力になれる。時給8,000円前後で、週2〜3回入れば月12〜15万円。ただし単発ゆえに収入が安定しない。メインの仕事と組み合わせる前提になる。
産業保健(企業の健康管理室)。デスクワーク中心で身体負荷が少なく、保健センター経験との親和性が高い。ただし求人数が限られるため、すぐには見つからない可能性がある。
派遣やエージェント登録も選択肢にはなるが、単発の健診派遣以外は注意が必要だ。50代後半・身体制約ありの条件だと、希望に合わない現場を紹介されるリスクがある。登録するなら「この条件は絶対に譲れない」を書面で明確にしておくことが大事になる。
「制約だらけ」は、終わりじゃない
面談を終えたあと、彼女が言った言葉が残っている。
「できないことばかり数えていたけど、できることもまだあるんですね」
50代後半。身体制約が3つ。経済的な余裕もない。客観的に見れば、厳しい状況だ。でも「もう無理だ」と決めているのは、本人よりも周囲のほうかもしれない。
介護認定調査員の書類選考は、彼女の経歴なら十分に戦える。健診業務の実績もある。残り9年という時間は、短いようで、まだ何かを始められる長さだ。
with Nursingは、20代・30代だけのメディアではない。年齢や身体の制約があっても、「あと何年、どう働くか」を一緒に考える場所でありたい。
状況が厳しいときほど、一人で求人サイトを眺めていても答えは出ない。制約を全部テーブルに並べたうえで、「じゃあ何が残っているか」を整理する。それが面談の役割だと思っている。
制約があっても、まだ選べる道はある。一人で抱え込まず、まずは話してみませんか。
よくある質問
Q: 50代後半の看護師に転職先はある?
身体制約がある場合でも、介護認定調査員・健診業務・産業保健など身体負荷の少ない仕事がある。30年以上の臨床経験は、アセスメント力や制度知識として評価される。
Q: 介護認定調査員の仕事内容と収入は?
自治体の会計年度任用職員として要介護認定の訪問調査を行う。身体介助はなく、調査票の記入と主治医意見書の確認が中心。月収は自治体によるが手取り19万円前後の求人もある。
Q: 身体制約がある看護師はどこに相談すべき?
制約の内容によって選べる仕事が大きく変わるため、求人サイトを眺めるより先にキャリア面談で「できること」を整理するのが近道。with Nursingでは年齢・身体制約を含めた相談を受け付けている。

