40代の看護師の転職は、遅くありません。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」では、看護師(企業規模10人以上・男女計)の平均年齢は42.1歳です。40代は看護師の真ん中の年代にあたります。採用の場で問われるのは年齢そのものより、これまでの経験を応募先でどう使えるかと、この先の20年をどんな働き方で続けるかです。その2つを言葉にできれば、40代の転職は選べる幅が広がります。
この記事でわかること
- 40代の転職で、応募先が確かめたいこと
- 経験を職務経歴書と面接で伝える形
- 働き方ごとに40代の経験が活きる場面と、引き受けること
40代の看護師は、転職で不利になる?
年齢だけで不利になるとは限りません。上の調査の平均年齢42.1歳から見ても、40代は看護師の中で少数派ではありません。
一方で、20代と同じ見られ方はしません。応募先は、新しく教える前提ではなく、入ってすぐ何を任せられるかを見ます。20代なら「これから覚えます」で通る場面でも、40代は「これまでこうしてきたので、ここで使えます」と言えるかが問われます。
もう一つは、条件の幅です。夜勤ができるか、どこまでの通勤なら続けられるか、給与はいくら必要か。家庭の事情が増える年代なので、条件が多くなるのは当然です。ただ、条件が多いほど応募できる求人は減ります。譲れない条件と、相談できる条件を分けておくと、選べる求人が増えます。
応募先は、40代の何を確かめたい?
応募先が確かめたいのは、主に次の3つです。どれも、面接の前に自分の答えを用意できます。
- 新しいやり方に合わせられるか:記録の書式や手順は職場ごとに違います。前の職場のやり方を押し通さず、まず覚える姿勢があるかを見られます
- 年下の上司や先輩と働けるか:40代で転職すると、主任や指導役が年下ということはよくあります。そうした経験があれば、具体的に話します
- どれくらい続けるつもりか:採用には費用と教える手間がかかるので、長く働ける見込みを知りたがります。何年先まで、どんな働き方をしたいかを答えられるようにします
この3つは、年齢が上がるほど聞かれやすくなります。答えに迷ったら、前の職場で実際にあったことを一つ挙げて話すと、言葉に重みが出ます。
経験は、どう伝えれば伝わる?
「何年、どこで、何をして、その結果どうなったか」を一つずつ書き出します。年数だけを並べても、応募先には何を任せられるかが伝わりません。
厚生労働省・ハローワークの応募書類の案内では、職務経歴書はA4の紙1〜2枚程度にまとめるのが一般的とされています。20年近い経歴を全部書くと収まらないので、応募先の仕事に近い経験を厚く、それ以外を短く書きます。
| 書き出す項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 診療科と年数 | 循環器内科病棟で8年、外来で3年 |
| 任された役割 | リーダー業務、新人の指導担当、委員会の担当 |
| 変えたこと | 申し送りの手順を見直し、残業を減らした |
| 応募先で使えること | 心不全の利用者の体調の変化に早く気づける |
表の例は書き方を示すためのものです。自分の経歴に置き換えて書きます。面接では職務経歴書の内容から質問されることが多いので、書いた経験はそれぞれ1分で話せるようにしておきます。
働き方ごとに、40代の経験はどう活きる?
病院に近い働き方から順に並べます。並びは優劣ではありません。どの働き方にも、経験が活きる場面と、引き受けることがあります。
病院の病棟・外来:経験をそのまま使えるが、夜勤の有無で負担が変わる
これまでの診療科の経験を、そのまま使えます。夜勤がある病棟なら収入は保ちやすい一方、続けるほど体への負担は増えます。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、交替制勤務に就く人の心血管系の病気の発症リスクが、就いていない人の1.15倍だという報告を紹介しています。外来は夜勤が無い分、夜勤手当にあたる収入は無くなります。
老健・特養:長く関わる看護になるが、夜間に一人で判断する場面がある
利用者の生活を長く支える看護です。介護職と一緒に働くので、チームをまとめた経験が活きます。施設によっては夜勤があり、看護師が夜間に一人になる日は、医師が常駐しない中で急変の最初の判断を一人で担います。夜間の体制は、面接で確かめます。
訪問看護:一人で判断する経験が活きるが、急変の初動とオンコールを一人で担う
利用者の家に一人で訪問するので、病棟で積んだ判断の経験が活きます。その分、急変の時の初動を一人で担います。夜間のオンコールは、病棟の夜勤とは違います。自宅で待機し、緊急時に対応する形で、手当が付きます。月の呼び出しの回数はステーションで大きく違うので、面接で実績を確かめます。
クリニック:少ない人数で回す経験が活きるが、土曜の診療と人間関係に左右される
看護師が少ない人数で回すので、一人で幅広い業務をこなせる経験が評価されます。土曜の診療がある所が多く、診療後の業務で帰りが遅くなる所もあります。人数が少ない分、人間関係の影響も受けやすくなります。見学で、診療が終わった後の様子まで見ておきます。
給与は、何を比べて決める?
月給ではなく年額で比べます。賃金構造基本統計調査(令和7年)では、看護師(企業規模10人以上)の毎月決まって支給される給与を12か月分にし、年間賞与を足すと約525万円です(365.9千円×12+856.4千円の算式値)。これは平均なので、自分の今の年収と並べて、職場ごとの差を見る目安に使います。
比べる時は、次の3つを分けて見ます。
- 夜勤手当の分:夜勤をやめるなら、その分は無くなります。日本看護協会「2023年 病院看護実態調査」では、二交代制の夜勤手当の平均は1回11,368円でした。月4回なら11,368円×4回×12か月で年に約54.6万円です(計算例)
- 賞与の月数:求人票の賞与が「年◯か月分」の時は、何の◯か月分か(基本給か、手当を含むか)を確かめます
- 退職金:40代での転職は、勤続年数が振り出しに戻ります。今の職場で受け取る額と、移った先で定年までに積み上がる額を両方確かめます
40代は、子どもの教育費や親の介護など、この先の出費が見えてくる年代です。年収が下がる転職をするなら、下がる額を家計で受け止められるかを先に確かめます。
転職しないほうがいいのは、どんな時?
次のような時は、今の職場で働き方を変えられないかを先に試します。
- 退職金や役職が、あと数年で区切りを迎える
- 今の不満が、夜勤の回数や部署の異動で解決しそう
- 家庭の事情が落ち着く時期が見えていて、それまでの間だけの不満である
私たち with Nursing の LINE 相談では、これまでの経験の整理と、この先の働き方の条件づくりをお手伝いしています。応募する求人が決まったら、面接の準備や書類の見直し、条件の確認も一緒に進めます。無理に転職を勧めることはありません。
よくある質問
Q. 40代の看護師でも、未経験の分野に転職できる?
できます。未経験の分野でも、これまでの経験のどこが使えるかを説明できれば、応募先は判断しやすくなります。教育の体制があるかを、面接で確かめます。
Q. 40代で夜勤なしの職場に移ると、年収はどれくらい下がる?
夜勤手当の分です。二交代制の平均1回11,368円で月4回なら、年に約54.6万円になります(計算例)。自分の明細の1回あたりの額と回数で計算し直してください。
Q. 40代の面接で、よく聞かれることは?
入ってすぐ任せられること、新しいやり方に合わせられるか、どれくらい働き続けるつもりかです。前の職場での具体的な出来事を一つずつ用意しておきます。
Q. ブランクがある40代でも、復職できる?
できます。ブランクの理由と、その間に何をしていたかを短く説明し、復職に向けて準備していることを伝えます。研修の体制がある職場を選ぶと、戻りやすくなります。
Q. 職務経歴書は、何枚にまとめればいい?
厚生労働省・ハローワークの案内では、A4の紙1〜2枚程度が一般的です。応募先の仕事に近い経験を厚く書き、それ以外は短くまとめます。

