「特定行為研修」という言葉を耳にする機会が増えていませんか。
2015年に制度化された特定行為研修は、看護師が医師の判断を待たずに一定の医療行為を実施できるようにする研修です。2026年現在、受講者は増加傾向にあり、キャリアアップの手段として注目されています。
この記事では、特定行為研修の概要から、費用、研修期間、キャリアへの影響まで解説します。
特定行為研修の概要
特定行為とは
医師の作成した手順書(プロトコル)に基づいて、看護師が自律的に判断し実施できる医療行為のことです。通常は医師の指示が必要な行為を、研修修了後は手順書の範囲内で看護師の判断で実施できます。
対象となる行為(38行為21区分)
主な行為の例:
- 脱水症状に対する輸液の調整
- 気管カニューレの交換
- 褥瘡の血流のない壊死組織の除去
- インスリンの投与量の調整
- 人工呼吸器の設定変更
- 直接動脈穿刺による採血
- 術後の疼痛管理のための薬剤投与量の調整
全38行為が21の区分に分けられており、必要な区分だけを選んで受講できます。
研修の内容と期間
共通科目
全ての受講者が学ぶ基礎科目です。臨床推論、フィジカルアセスメント、疾病・臨床病態概論、医療安全学などを学びます。
時間数: 約250時間
区分別科目
選択した特定行為区分ごとの専門科目です。講義、演習、実習で構成されます。
時間数: 区分により15〜72時間
研修期間の目安
- 働きながら受講する場合: 8ヶ月〜2年
- 集中的に受講する場合: 6ヶ月〜1年
eラーニングを活用した研修機関も増えており、働きながらでも受講しやすい環境が整いつつあります。
費用
| 研修機関 | 費用目安 |
|---|---|
| 大学院(修士課程併設) | 100〜200万円 |
| 病院併設の研修機関 | 30〜80万円 |
| eラーニング中心の機関 | 20〜50万円 |
施設によっては、所属する病院が費用を負担してくれるケースもあります。受講前に勤務先の支援制度を確認してください。
また、厚生労働省の「教育訓練給付金」の対象になっている研修もあり、費用の一部が補助される場合があります。
キャリアへの影響
メリット
看護の幅が広がる
手順書に基づいて自律的に判断・実施できるため、患者さんへの対応スピードが上がります。特に訪問看護や在宅医療の現場では、医師が不在の場面で大きな力を発揮します。
給与面での評価
特定行為研修修了者に対する手当を設けている施設が増えています。月額5,000〜30,000円の手当が上乗せされるケースがあります。
転職市場での価値
特定行為研修の修了は、転職時に大きなアピールポイントになります。特に訪問看護ステーションや在宅療養支援診療所では、修了者を積極的に採用する傾向があります。
診療報酬での評価
特定行為研修修了者が配置されていることで算定できる加算が増えており、施設側にも採用のメリットがあります。
デメリット
費用と時間の負担
研修費用は数十万〜百万円以上かかり、研修期間中は通常業務との両立が必要です。
全ての施設で活かせるわけではない
特定行為を実施するには、医師が手順書を作成し、施設として体制を整える必要があります。研修を修了しても、勤務先で活かせない場合があります。
責任の範囲が広がる
自律的に判断・実施できるということは、それだけ責任も重くなります。判断に迷った場合に相談できる体制が整った施設で働くことが重要です。
受講を検討すべき人
- 訪問看護で働いている、または転職を考えている人
- 在宅医療に関わりたい人
- キャリアアップと給与アップを同時に目指したい人
- 急性期で5年以上の経験があり、次のステップを探している人
まとめ
特定行為研修は、看護師の専門性とキャリアを大きく広げる制度です。
- 38行為21区分から必要なものを選んで受講可能
- 費用は20〜200万円、期間は6ヶ月〜2年
- 訪問看護・在宅医療で特に価値が高い
- 転職市場での評価も高まっている
自分のキャリアにとって研修が必要かどうか迷ったら、まずキャリアの方向性を整理してみてください。

